なぜ中小消費者金融は提出する書類が多いのか?
Q:今回、はじめて中小消費者金融へ申込みをしましたが、必要書類の多さに、ビックリしています。(本人確認書類、収入証明書類、住民票、公共料金明細、等々)
大手消費者金融の利用経験がありますが、提出書類は運転免許証ぐらいだったと思います。
不当に個人情報を集められているのか心配です。
A:はじめまして。不安に思われる気持ちはわかりますが、大手消費者金融より、中小消費者金融の提出書類が多いのは普通のことです。
大手と中小では利用者の属性が異なることが大きな要因です。
法令上必要な書類とは
キャッシングをするのに、必要とされる書類は各社の規定により異なりますが、実は、法令で定められている書類は、基本的には、次の3種類だけです。
- 本人確認書類(免許証・保険証など)
- 本人確認補完書類(本人確認書類の住所が現住所と異なる場合に必要。公共料金領収書など)
- 収証証明書類
(自社で50万円を超える貸出しをする場合、または、自社を含めた複数の貸金業者からの貸出金額の合計が100万円を越える場合)
この書類については、大手消費者金融でも中小消費者金融でも絶対に必要なものです。
これ以上の書類に関しては、法令上必要なものではなく、その会社の、自主ルールで定められたものです。
まずはこのことを覚えておいてください。
(参考記事:消費者金融の提出必要書類)
大手消費者金融と中小消費者金融の審査の違い
大手消費者金融で必要とされている書類は、ほとんどの場合、法令で定められた必要最低限の書類だけですが、中小消費者金融の場合は、それ以外に自主ルールで、多くの書類が必要とされています。
これは、ズバリ、客層の違いからきています。
つまり、比較的、「初めてキャッシングを利用する方」の申込みが多い大手消費者金融と、「大手消費者金融での利用が出来なくなった方」の申込みが多い中小消費者金融では、審査の考え方は全く異なっているということです。
ざっくりまとめると以下のようなイメージです。
●大手消費者金融=低リスクなお客=簡易な審査でOK
●中小消費者金融=ハイリスクなお客=より厳格な審査が必要
また、「低リスクなお客」が多い大手消費者金融は、あまりお客に負担をかけると、取り逃がしてしまう可能性が高くなります。
しかし、「ハイリスクなお客」が多い中小消費者金融では、他でなかなか融資を受けることができないお客が多く、お客に負担をかけることになったとしても、取り逃がすことはないであろうという、業者側の考えも垣間見えてきます。
源泉徴収票を欲しがるもう一つの理由
また、源泉徴収票や給料明細などの収入証明書類は、自己申告よりも、より正確な収入を把握するために徴求するわけですが、他にもある重要なことがわかります。
それは、どの会社から給料が出ているかが、明確にわかるということです。
昨今は、派遣や、出向など、雇用形態が多様化しているので、どこの職場で働いているかが、わかっていても、どの企業に雇用されているのか、よくわからないことが多くあります。
このことが正確にわかっていれば、万が一、返済が放置されるなど、債務不履行となった場合、訴訟を経て、給料差押などの強制執行をすることが可能になります。
そのため、不良債権リスクが高い、中小消費者金融では、法令上、必要はない場合でも、やたら収入証明書類の提出を求めてくるというわけです。
とはいえ、これは不当な個人情報の収集ではありません。
お客側も返済を放置するつもりがないのであれば、提出しても全く問題はないはずです。
提出書類が多くなってしまうもう一つの理由
このように、中小消費者金融の提出必要書類が多いのには、それなりの理由があります。
まあ、大した合理性もなく、提出を求められる場合もありますが、これもひとえに「文化の違い」ということでしょう。
少し言い方は悪いのですが、たくさん書類を取得した方が、審査担当者としては、きちんと審査をした気分になれるものです。
中小消費者金融の審査は、大手消費者金融のように、コンピューター審査ではなく、ある程度、審査担当者の裁量にゆだねられている部分が多いので、どうしても、書類が多くなってしまうということはあるのです。
とは言え、なんとか可決を引き出したいのであれば、やたら拒否することはせず、面倒でも、できる限り協力しておいたほうがよいでしょう。