取引履歴の開示請求には要注意
消費者金融にこれまでの入出金の経緯を明らかにした書面を請求することを「取引履歴の開示請求」と言います。
しかし、実際にこの請求を行うにあたっては、消費者金融とトラブルになることも多く、少し注意が必要です。
取引履歴の開示請求は警戒される
消費者金融との取引は長期に渡ることが多く、入出金の経緯を自分自身で記録することはなかなか困難です。
そのため、中には、どのような取引をしてきたか純粋に確認したいという目的で、取引履歴の開示請求をする人もいると思います。
しかし、実際の取引履歴の開示請求は、債務整理や過払い金返還請求に絡んで行われることがほとんどです。
開示された取引履歴をもとに、その利率が適正なものかどうかを調査し、利息制限法所定の利率よりも高い時期の利息を取得している期間があれば、それを計算しなおす作業に利用されています。
そのため、取引履歴の開示請求を行うと、「債務整理を検討している」と見なされ、消費者金融からは確実に警戒されるので注意して下さい。
実際、取引履歴の開示請求をしたばかりに、限度枠内での出金が出来なくなってしまったという事例もあります。
今後も利便性良く消費者金融の利用を継続してゆきたいと考えている方には、開示請求行為がデメリットとなる可能性もあるので要注意です。
時間稼ぎをしてくる会社もある
前述したように、取引履歴の開示請求を行えば、消費者金融からは警戒されますが、消費者金融はこれを拒否することは出来ません。
その代わり、様々な理由をつけて、時間稼ぎをしてくる可能性があります。
例えば、
- 事務が立て込んでいるので、取引履歴を作成するのに数ヶ月かかると言われる。
- 取引履歴を開示するにあたり、わざと面倒な書類のやり取りをさせられる。
- 一度に全ての取引履歴を開示せずに、とりあえず一部だけ開示される。
など、様々な理由をつけて、速やかに開示をしない会社もあります。
もちろん、中には、取引期間も短く、過払い金など発生していない顧客もいますが、そのような客だけ、速やか開示に応じるのは、あまりに露骨なので、取引履歴の開示請求があった場合は、一律、わざと時間をかけて対応するということにしているということでしょう。
現在は、改正貸金業法施行から10年以上が経過しており、過払い金が発生している顧客も減ってきているので、このように、時間かせぎをされることも、少なくなってはきていますが、中小消費者金融の中には、いまだにこのような対応をしている会社もあります。
開示請求は慎重に
もちろん、取引履歴の開示請求は、顧客の権利なので、あまりに不誠実な対応をする会社には、苦情の申立てをすることも出来ます。
(参考記事:苦情・クレームはどこに訴えればいいの?)
しかし、当サイトでは、無用なトラブルを避けるためにも、やたら開示請求することはおすすめしていません。
前述したように、消費者金融に取引履歴の開示をすれば、確実に消費者金融から勘ぐられることになるので、今後も利便性良く利用していきたいという場合はデメリットが大きいと思います。
また、過払い金返還目的で開示請求をするにしても、過払い金は改正貸金業法施行された、2010年6月18日よりも前に取引していた方にしか発生していません。
(それ以後の取引では、法定利率の範囲内での取引なので、仮に債務整理をしても、将来利息がカットされるだけなので、現時点での残高を確認するだけで事足ります。)
取引履歴の開示請求をする場合は、この辺りの事情を、よくよく理解したうえで、慎重に行うようにしてください。