消費者金融のキャッシングと年齢の関係
中小消費者金融が設けている年齢制限は、20歳以上65歳ぐらいまでが一般的ですが、各年代によって審査の評価は異なります。
特に、20歳そこそこの若年層と60歳過ぎの高齢者に対する評価は、働き盛りの年代よりも、慎重な審査が求められています。
ここでは、消費者金融のキャッシングと年齢の関係について解説していきたいと思います。
Contents
キャッシングにおける若者の評価
●大手消費者金融は若者の融資に積極的
キャッシング業界全体としては、ここ数年間で、20歳、21歳ほどの若者からの申込みが増えてきています。
その原因としては以下のようなことが考えられます。
- 申込み方法として、若者に馴染みやすいインターネットが主流になった。
- 若者がキャッシングに対してネガティブな印象を持たなくなった。
このような状況を受けて、近年、大手消費者金融を中心に、特に、若者に訴求する会社が増えてきました。
例えば、
- J.Score(ジェイスコア)・・2016年11月開始
- レイクAKSA(レイクアルサ)・・2018年4月開始
- LINE Pocket Money(ラインポケットマネー)・・2019年8月開始
などがこれにあたります。
これらの会社のコンセプトは、デジタルリテラシーの高い、20代、30代の若年層に、人工知能(AI)や信用スコアなどを活用したデジタル機能の充実を図ったサービスの提供を検討してゆくというものです。
また、これは、今に始まったことではありませんが、新たな販路拡大という観点からも、若者層への訴求は、スケールメリットが重要な大手消費者金融にとっては、ある意味、必然だと言えます。
※追記(2020年4月20日)
2022年4月より成年年齢が、これまでの20歳より18歳に変わります。
これに伴い、新成人を含めた若者層による消費者被害が増加すると懸念する声が、日本弁護士連合会などからあがっています。
このような声が高まる中、カードローン業界でも無条件で新成人に契約を開放することは考えられません。
むしろ、22歳以下の若者との契約は、特に慎重に行うことが求められる流れになってきています。
大手消費者金融が若者への訴求を強めているのは、このような流れとは、やや逆行するところもあるので、極端に若者への訴求を強めてゆくことは、今後、厳しくなってくるかもしれません。
●中小消費者金融は若者の融資に消極的
対して、中小消費者金融では、若者への融資に関しては、大手とは真逆で、かなり消極的です。
特に、20歳から22歳くらいまでの若者の審査はかなり慎重になっています。 その年代は一般的に、
- 年収額が低い
- 離職率が高い
- 雇用形態も正社員でなく、派遣社員、契約社員などが多い
など収入が不安定なケースが多いことが大きな要因です。
また、以下のようなことも原因になっています。
①短期間で破綻している可能性が高い
ほとんどの中小消費者金融が、過去に自己破産や債務整理をした方も審査対象としていますが、さすがに余りに若い年齢で、自己破産や債務整理までしなければいけなくなったような人は敬遠される傾向があります。
通常、キャッシングが利用出来る年齢を20歳以上としている会社が多いので、仮に21歳で自己破産をしていた場合などは、わずか1年間で返済不可能な金額まで借入れを増やしたということになります。
また、すぐに自己破産という手段を選択するということは、返済協力をしてくれる身内などもいなかったということでしょう。
しかもそれほど、自己破産という手続きに抵抗もなかったのだと推測されます。
もちろん、例外もあると思われますが、どうしても若年層の金融事故は敬遠されがちになります。
②借入れ件数が増加しやすい
前述したように、20台前半の若年層は、年長者と比べると、収入が少なく、勤務形態もアルバイトや派遣社員という内容が多くなってきます。
そのような低与信のため、仮に審査が通過しても、必要としている金額に足らない少額融資となり、結果、件数は増加しがちです。
借入れ件数が増えれば、返済金額の負担も徐々に増えますし、アルバイトや派遣社員は、正社員に比べて、離職率も高いので、離職をきっかけに、一気に支払いが出来なくなってしまう可能性もあります。
③返済に対する認識が甘い
かつて知り合いの中小消費者金融の勤務経験者に若年層のキャッシングについて取材したところ、次のような意見が聞かれました。
- 返済が遅れた時も全く悪びれていない
- 大した理由もなく返済を放置する傾向がある
要するに、若者の返済意識が甘いということです。
そのような状態にある若者に、さらに追い貸しをしても、破綻する可能性が高いと考えられているのです。
奨学金の影響も見逃せない
●奨学金を利用している若者は多い
また、中小消費者金融が若者への融資に消極的な理由について見逃せない要因として、「奨学金」の影響があります。
日本学生支援機構(JASSO)の統計では、現在、若者の大学進学率は、57%を超えていて、その進学者の2.7人に1人は奨学金を利用しているという統計もあります。
奨学金は、最大利用した場合、卒業時に500万円を超える負債を背負うことになり、返済は、単純計算でも、月々2.5万円で約20年続くことになります。
まさに、大卒の若者の5人に2人が、この「奨学金」という名の多額の借金を背負って、社会人のスタートをむかえているのが現状なのです。
●奨学金は信用情報に掲載されない!?
ご存知ない方も多いのですが、実は、奨学金は通常に返済をしている限りは、個人信用情報には掲載されることはありません。
個人信用情報に掲載されないので、もちろん、カードローンの審査でバレることはありません。
このため、カードローン会社などは、多額の奨学金という名の借金があることを知らずに、融資をしてしまうこともあり得るのです。
かつて知り合いの金融マンが、「最近は、わずか100万円ほどの借金で、すぐに音を上げて自己破産する若者が多い」という趣旨の話をしていましたが、その背景には、こういったことがあるのかもしれません。
但し、日本学生支援機構(JASSO)は、全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟をしているので、延滞が3カ月以上続いた場合は、事故情報が信用情報に登録されることになります。
KSCは、他機関の、CICやJICCとも情報交流をしているので、この事故情報は各指定信用情報機関に共有され、カードローンの審査でも把握される可能性があります。
中小消費者金融で若者が借りるコツ
このようにあまり歓迎されていない中、若者が中小消費者金融からキャッシングをするにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、やや精神論になりますが、「きちんと返済してゆく覚悟を示す」ことにつきます。
例えば、申込みフォーム備考欄に、
「融資して頂ければ、責任を持って返済してゆきます。よろしくお願いいたします。」 と入力しておくのも良いでしょう。
また、現在、多くの中小消費者金融では、二次審査として、簡易なヒアリングを行っている会社が多く、担当者と直接話をする機会が設けられています。そこでの応対で、その「決意」と「覚悟」が示せれば、可決に近づくことは間違いないでしょう。
キャッシングにおける高齢者の評価
60歳を超えると、キャッシング審査は厳しくなると言われています。
これはこの年代が一般的に、
- 定年退職する年代
- 年金に頼った生活者も多い
- 病気、死亡のリスクが高い
など収入が安定しなくなる可能性が高まってくるからです。
しかし、最近では、日本の平均寿命や健康寿命も延びているので、高齢者の融資に関しては、昔に比べて、寛容な面が伺えます。
むしろ、高齢者の方が、
- 引っ越しをしにくい
- 子供が独立している可能性が高い
- 借りたものは返済するという道徳観念が強い
といった、プラスの要因があるので、手堅いと考えられている節があります。
そのため、最近の各中小消費者金融では、高齢者の融資には比較的寛容です。
年齢制限の範囲内であれば、高齢であっても、特に、審査で減点をすることなく、通常に審査をするようになってきています。