過払い金請求裁判中でも新たに借入れできますか?
Q:以前に支払い終わった金融業者に、過払い金請求で裁判中です。そんな状態でも貸してくれる金融業者はありますか?
A:質問のように過払い金請求が、“以前に支払い終わった”金融業者に限られているなら、そのことを理由に否決になることはないので、借入れ可能と思います。
そもそも完済した金融業者に、過払い金を請求していても、その事実は指定信用情報機関に登録されないので、審査をする消費者金融は、貴方が過払い金請求をしていることすらわからないからです。
詳しく説明していきましょう。
信用情報に反映するのは残高が残っている業者だけ
通常、弁護士、司法書士に債務整理を依頼した場合は、指定信用情報機関の、㈱日本信用情報機構(通称:JICC)には「債務整理」という参考情報が登録されます。
これは、債務整理の時点で残高が残っているものに限られます。
(既に完済している債権に対して弁護士、司法書士が介入してくるのは、債務整理ではなく、過払い金返還請求の時だけです。)
さらに依頼内容が通常の債務整理ではなく、過払い金返還請求だった場合は、返済に行き詰った債務整理と区別するため、信用情報に事故情報は何も登録されないことになっています。
(但し、実際は、残高がある債権に対しては、いきなり過払い金返還請求となることはなく、最初に債務整理として介入し、取引履歴を開示させたうえで、過払い金返還請求をするというのが基本です。)
このようなことから、債務整理と信用情報機関の登録の関係を整理すると以下のようになります。
- 残高が残っている債権
・介入理由:債務整理(その後、過払い金返還請求になる可能性も有る。)
・JICC登録:「債務整理」という参考情報が契約終了後5年間登録される。
(契約日が2019年9月30日以前であれば参考情報の発生日から5年間登録) - 完済している債権
・介入理由:過払い金返還請求
・JICC登録:なにも登録されない。
このことからも質問のように、“以前に支払い終わった”金融業者であれば、信用情報機関に過払い金返還請求をしている事実は全く登録されていないので、申込みをしようとする業者に知られることはないのです。
但し、まだ残高が残っている会社の債務整理を弁護士、司法書士に依頼をしているのであれば、その事実は信用情報機関に登録されるので、申込みをした金融業者にはバレてしまいます。
通常、金融業者は、他社が債務整理で和解前の状態であれば、審査で可決は出しません。
その理由は、債務整理の場合、自己破産に方針変更される可能性があるからです。
各金融会社を利息制限法に引き直し計算をしても、支払いしきれないほどの負債金額が残っている場合は、自己破産に方針変更となることは実際よくあることです。
過払い金返還請求の事実は伏せておけ!
また、ワンポイントアドバイスとしては、できれば、過払い金返還請求をしていることは伏せたまま申込みをする方がよいでしょう。
すでに完済している業者に過払い金返還請求をしていることは信用情報に登録されることはないので、申込みを検討している業者にも判明することはありません。
そうであれば、わざわざそのことを説明する必要はありません。
弁護士、司法書士事務所のCMの影響もあって、世間的には、過払い金返還請求は、「払い過ぎた利息の返還を要求する当然の権利」のように扱われているので、全く悪いことをしている気がない方も多くいますが、消費者金融からすれば、「一度、納得して支払ったものを、後から返せというとんでもないヤツ」でしかないのです。
業界には、そんなことを平気でするような人物はとても信用するに値しないという忌み嫌う担当者がいるのも事実です。
できれば余計な話は伏せておく方がベターでしょう。