銀行カードローンの即日融資が中止!?
銀行カードローンの「即日融資」が2018年1月より中止される方針であることが、2017年9月15日付けの各種報道で明らかになりました。
ここ最近、銀行カードローンは、一連の過剰融資問題で自主規制を強化してきましたが、その一環なのでしょうか。
これを受けて、カードローン市場に新たな波が到来するかもしれません。
(2017年9月24日)
これまでの銀行カードローンの経緯
まずは、これまでの「銀行カードローン問題」の経緯を簡単におさらいしておきましょう。
かつてカードローン市場は、無人契約機のブームもあり、完全に消費者金融の独壇場でした。
しかし、2010年6月に完全施行された、改正貸金業法によって、消費者金融は、原則、年収の3分の1を超える貸出しは出来ない(総量規制)などの貸出し制限を受けるようになりました。
そのような中、総量規制の適用を受けない、「銀行カードローン」は、消費者金融に代わる新たな受け皿として、順調にカードローンの融資残高を伸ばし、2016年3月末には、ついに、消費者金融のカードローン残高を上回るまでになっていました。
しかし、ここ数年は、逆に銀行カードローンの過剰融資(貸し過ぎ)が問題視されるようになり、それを受けて、これまで銀行側は、
「総量規制の対象外」
「専業主婦でも可能」
「収入証明不要」
などといった、借入れしやすさを過度にアピールした表現を改めるなどの自主ルールの設定をしてきましたが、今回、ついに、「即日融資」の取りやめをするまでに至りました。
即日融資を取りやめた理由
「即日融資」とは、申込みをした当日に融資が受けられるサービスのことを言います。
銀行カードローンがこの「即日融資」を取りやめた、直接的な理由としては、
「反社会的勢力との取引を排除するため、警察庁との専用回線で借り手の情報を照会するのに時間がかかる」
との説明がなされています。
しかし、ここ最近、問題視されていることは、銀行が個人の返済能力を超えた貸出しを行っていたことであって、反社会的勢力の排除に関して特段問題視されていたわけではありません。
個人向け小口融資で、「即日融資」という利便性を損ねてまで、そこまでの対応が必要だったのか疑問に感じるところがあります。
これはやはり、直前に行われた、金融庁による「銀行カードローンの審査体制検査」の結果が「審査体制が不十分であった」と指摘される見込みなので、事前に手を打って批判をかわす目的だったのでしょう。
すなわち、「即日融資」を中止することで、行政に対して、「ここまで慎重な審査をやっています」とアピールすることが真の狙いだということです。
いずれにしても、このことで、今後、銀行カードローンで即日融資は不可能となってしまいました。
消費者金融にとっての追い風となるか
銀行カードローンは、今回、「即日融資」だけでなく、その審査基準においても、大幅な見直しをかけて、今後は厳しめの審査になってくると思われます。
この影響は銀行傘下の大手消費者金融も、まともに受けることになります。
現在、銀行カードローンの保証事業への依存度が高い、銀行傘下の消費者金融は、収益モデルの見直しを余儀なくされると思われます。
しかし、銀行が貸出しを縮小しても、カードローンの潜在的な需要は変わらないので、今後は、「即日融資」に対応している消費者金融への直接申込みが増加してゆくようになると予想されます。
今回の銀行カードローンの融資縮小は、消費者金融業界にとっては、銀行に奪われた市場を取り戻すチャンスと捉えることもできるのではないでしょうか。
中小消費者金融の動向にも注目
このような追い風は、大手消費者金融に限らず、中小消費者金融にも吹いてくると思われます。
銀行カードローンは、カードローンに力を入れていた、「イケイケの時期」には、本来、中小消費者金融の客層である、「過去に自己破産や債務整理をした方」に対しても積極融資を行っていました。
しかし、さすがに今後はそのようなこともなくなってくるでしょう。
中小消費者金融にとっても、銀行が今まで抱えていた属性の良い顧客を獲得できるチャンスになるので、今後、積極融資に打って出る会社も多くなってくると思われます。
今後、業界の動向からは目が離せません。