改正貸金業法で保証会社が変わった!
保証会社と言えば、普通、銀行カードローンの保証をしている消費者金融などを指しますが、かつて業界にはそれとはおもむきが異なる保証会社が存在していました。
不良債権化した債権を保証会社が代位弁済するのは同じですが、決定的に違うのは、お客に保証料を負担させていたことです。
当時の法律では違法ではなかったものの、限りなく怪しい存在でありました。
改正貸金業法ではこの保証料に関しても規制が設けられています。
ここでは、保証会社の規制について、当時を知る筆者が詳しく解説していきたいと思います。
普通の保証会社の仕組み
まずは、一般的な「保証会社」の仕組みから説明していきます。
前述したように、現在、保証会社と言えば、普通は銀行カードローンの保証をしている消費者金融などを指して言います。
(図はアコム新卒採用サイトより抜粋)
そして保証会社の業務は主に次の2点です。
- 銀行カードローンの審査
- 銀行カードローンが不良債権化した際に顧客に代わって代位弁済で完済させる。
代位弁済については、保証会社が代わりに完済したからといってお客の借金が無くなるわけではありません。
請求権が銀行から保証会社に移るだけで、その後は保証会社が銀行に代わって回収業務をすることになるわけです。
このような保証をする対価として、銀行から保証会社には一定の保証料が支払われおり、これが保証会社の収益になっているわけです。
この場合の保証料は、あくまで銀行負担でお客負担ではないのが一般的です。
このように、世間的に信用の高い銀行を窓口として、小口融資のノウハウがある消費者金融が審査と不良債権の回収を行うという方法で「銀行カードローン」は飛躍的に融資残高を伸ばしました。
怪しい保証会社のからくり
一般的な保証会社の仕組みがわかったところで、かつて存在していた「怪しい保証会社」について解説していきます。
尚、この手口は改正貸金業法施行される前は、違法ではありませんでした。
①消費者金融は、お客が保証会社に一定額の保証料の支払いをすることを条件に融資を行う。
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②消費者金融から融資を受けたお客は、一定額の保証料を保証会社に支払う。
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③保証会社はそのようにして各お客から集めた保証料をプールしておく。
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④プールしてある資金の内、何パーセントかは保証会社の手数料となり、残りは不良債権を代位弁済するための財源となる。
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⑤自己破産など回収不能な不良債権が発生した場合、消費者金融は保証会社に申請して代位弁済を受けて、その債権を完済させる。
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⑥代位弁済するのが適当かどうかは、消費者金融が申請して保証会社が認定した債権に限られるので、お客自らが、保証会社に代位弁済を申請は出来ない。
おわかりでしょうか。
この手口だと、消費者金融は自らなんら負担することなく、不良債権を完済させることができるので、多少、リスクの高い内容のお客でも、思い切って融資が出来るようになるというわけです。
そしてその不良債権を完済させるための財源は、お客から、利息とは別に、保証料という名目で負担させているということです。
保証会社の役割に至っては、ただ単に、お金を集めてプールしているだけの存在だったわけです。
消費者金融の中には、保証会社と共謀する、またグループ会社で保証会社を設立して、契約更新や借り増しの都度、利息とは別に高額な保証料を取ったりしていた会社もありました。
貸金業法における保証料の制限
そのような事態を受けて、現在の貸金業法では、保証会社が顧客から取得する保証料は、利息と合算されて、出資法および利息制限法の上限金利規制に服するという制限が設けられました。
要するに、保証料として取得した金銭も含めて上限金利の範囲内としなければならなくなったので、保証料を徴求するなら、消費者金融は今よりも金利を下げなくてはならなくなったということです。
このため、多くの保証会社が存在価値を失い、今では、このようなからくりの「怪しい保証会社」の存在は聞かなくなりました。
もし、今でも、保証料を徴求してくる消費者金融があれば、そこの金利は、年率18.0%(10万円以上100万円未満の場合)よりも低くならなければおかしいので、くれぐれもご注意ください。