返済の優先順位について
借入れには、キャッシング、ショッピングローン、住宅ローンなど様々な種類がありますが、これらには返済する優先順位があります。
もちろんどの支払いも遅れることなく返済するのがベストですが、資金が足りない時はどの支払いからしてゆくべきでしょうか。
このような議論をするとき、よく、「金利の高い会社から返済をするべき」と言われることが多いのですが、現実的には、
- 出来る限り、信用情報に傷が残らないようにする。
- 出来る限り、法的手続きや差押えなどの処置をとられないようにする。
ということが、金利よりも重要なポイントとなってきます。
この章では、このような観点で、返済の優先順位について解説していきたいと思います。
Contents
キャッシングとショッピングローンはどちらを優先するべきか
借入れには、直接、現金の融資を受けている「キャッシング」と、クレジットカードなどで商品購入代金の立替払いをしてもらっている「ショッピングローン」がありますが、どちらの返済を優先すべきでしょうか。
これは間違いなくキャッシングの返済を優先すべきです。
その理由は、信用情報の関係で大きく2つあります。
①信用情報への報告スパンの違い
キャッシングもショッピングローンも、残高や返済状況などの情報は、指定信用情報機関へ報告することが義務付けられていますが、実は、報告するスパンが下記のように異なっています。
- キャッシング
・・原則、毎日報告(日次報告) - ショッピングローン
・・原則、月1回の報告(月次報告)
このため金融機関などが審査で信用情報を確認する際は、キャッシングの場合は返済が遅れているかどうか、ほぼリアルタイムでわかるのですが、ショッピングローンの場合は、実は遅れているのか、遅れてないのか、リアルタイムでは、よくわからないのです。
また、ショッピングローンの場合は、多少返済が遅れても、信用情報機関の履歴にも、そのことが登録されないこともあります。
例えば、返済期日が27日で、信用情報機関への報告を毎月10日締めにしている信販会社があるとします。(返済期日や信用情報への報告の締め日は各信販会社によって異なります。)
この場合は、たとえ27日を過ぎていても、報告の締め日である10日までに請求金額の入金をしていれば、信用情報には「延滞した」という報告はされずに、通常に入金があったと報告されるのです。
しかし、キャッシングの場合は、毎日報告なので、たとえ1日でも遅れてしまえば、当然、履歴にも登録されることになるのです。
②指定信用情報機関の表示方法の違い
消費者金融や信販会社が利用している指定信用情報機関は、主に下の2機関です。
- ㈱日本信用情報機構(通称:JICC)
・・主に消費者金融などが利用 - ㈱シー・アイ・シー(通称:CIC)
・・主に信販、クレジット会社が利用
主にキャッシング審査で利用されるJICCでは、過去12回分の延滞記録が延滞日数で表示されています。
このため、審査担当者には、現在の延滞のことだけでなく、何回前に何日遅れたかも一目瞭然になってしまいます。
対してCICでは、過去の返済状況は、
$・・請求額の入金があった
A・・未入金
P・・請求額の一部入金
など、記号で表示されており、具体的な延滞日数などはわからなくなっています。
このため、ショッピングローンを、仮に、数日間延滞したとしても、信用情報への報告日までに請求額以上の入金があれば、$が掲載されるので問題なく返済されたということになるのです。
このようなことからも返済はキャッシングを優先することがおすすめです。
但し、ショッピングローンは口座振替が主流なので、そのままにしておくと勝手に引き落とされて、そちらが優先的に返済されてしまうこともあるので、調整したい場合は注意が必要です。
※注意
誤解がないように、念押ししておきますが、ショッピングローンの支払いをずっと放置しておけばよいと言っているわけではなく、あくまで、信販会社が信用情報機関に報告するまでの数日間であれば、信用情報に「遅れた」という情報が掲載されない可能性があるということです。
但し、信販会社は、信用情報機関への報告日を公表していないので、いつまでの遅れであれば信用情報に掲載されないということは、利用者側ではわかりません。
あくまで、「掲載されない可能性がある」ということで理解しておく方が良いでしょう。
銀行カードローンの信用情報機関へ報告につて
※追記(2019年4月10日)
先ほど、信用情報機関への報告スパンは、キャッシングは日次報告で、ショッピングローンは月次報告と、ザックリと説明しましたが、厳密に言えば、キャッシングの中でも、
- 銀行カードローン・・月次報告
- 消費者金融・・日次報告
と分かれています。
しかし、2019年3月30日の報道によると、このたび、全国銀行協会が、多重債務者増加防止の一環として、2021年度中には、信用情報機関への報告を消費者金融と同様に毎日更新にする方向で調整しているようです。
銀行カードローンが日次報告となれば、残高の把握はもちろん、支払い遅れについても、リアルタイムで把握できるようになるので、より審査の精度が上がるというわけです。
これは、なにも銀行だけでなく、消費者金融にとっても、より精度の高い審査が可能になるので、メリットがあることです。
住宅ローンは一番怖い
住宅を購入する際は、ほとんどの方が住宅ローンを利用します。
この住宅ローンについては、「消費者金融は怖いが住宅ローンは安心・安全」と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、場合によっては、住宅ローンは消費者金融以上に怖い存在になることがあるので注意が必要です。
住宅として利用される不動産には、基本的に第一順位として、住宅ローンを組んでいる銀行などが抵当権を設定することになります。
このため、返済が滞れば、任意売却や競売など、実質、家を売り払って返済を強要されることもあり得るからです。
もちろん、数日遅れたから、いきなり競売になるわけではありませんし、予告書面などの送付も有ります。
しかし、タカをくくってはいけません。
住宅ローンの返済額は、カードローンや通常のショッピングローンと違って、金額が大きいので、数カ月滞納すれば、すぐに補填するのが困難な状態になってしまいます。
その結果、粛々と売却の話をすすめられてしまうことも多いようです。
結論として
まとめると、返済の基本的な優先順位としては、以下のような順ということになります。
1位:住宅ローン
2位:消費者金融
3位:銀行カードローン
4位:ショッピングローン
もちろん、これはあくまで「基本」なので、各個人の諸事情によっては、優先先が異なってくることもあり得ます。