廃業した消費者金融の対応について
全国の貸金業者の数は、令和2年2月末で1,647件です。
昭和60年のピーク時には47,504件だったので、これは、なんと96%以上の減少ということになります。
法改正前後の激減状態に比べれば、現在の減少幅は、多少落ち着いていますが、毎年、廃業する業者はあります。
もし、現在、利用している業者が廃業してしまった場合は、どうなるのでしょうか。
今回は、廃業した消費者金融に対しての対応についてまとめてみました。
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消費者金融廃業には2パターンある
消費者金融が廃業する場合、様々なパターンがありますが、大きく分類すると下記2種類です。
- 合併、吸収、債権譲渡が伴う場合
- みなし貸金業者となる場合
合併、吸収、債権譲渡の場合は、新たな受け皿となる消費者金融に返済を続けてゆくことになります。
また取引状態がよい顧客は、新会社への借換えを促進されることも多く、借換えすれば、限度枠内での追加融資など、従来通りのサービスを受けることも可能です。
合併による廃業の場合は、ホームページで公表されることが多く、利用者にも連絡が入るケースが多いようです。
(旧会社からの連続取引で「過払い金」が発生している場合は、新会社が請け負うことになります。)
しかし、「みなし貸金業」の場合はやや事情が特殊です。
次からは、この「みなし貸金業」について詳しく解説していきたいと思います。
みなし貸金業とは
消費者金融が廃業しても、合併、吸収、債権譲渡などをしなかった場合は、これまでに貸したお金の回収業務は残ります。
このため、通常、廃業後も何年間かは、回収業務を行うために会社自体は存続することになります。
このような状態の会社を「みなし貸金業者」と言います。
みなし貸金業者は、もちろん、新たな融資は出来ないので、利用者は、返済だけを続けてゆくことになります。
みなし貸金業の特徴
●廃業しても貸金業法が適用される
みなし貸金業者は、たとえ廃業していても、貸金業者として契約した取引が全て終了するまでは、貸金業者として貸金業法などの関係法令が適用されます。
よって、悪質な取り立て行為などは行政処分の対象となります。
みなし貸金業者についての苦情や相談は、以前管轄していた行政になります。(不明であれば、本店所在地の県金融課に問い合わせると良いでしょう。)
また、廃業しても過払い金返還などが免除されるわけではありませんので、弁護士、司法書士に債務整理の依頼をすることも可能です。
(但し、廃業しているということを鑑みると、過払い金を満額回収することは至難の業です。)
●知らない間に廃業している可能性がある
みなし貸金業者となった会社は、廃業しても、特にそのことを積極的に公表せず、「新規貸出の受付を終了することになりました。」と公式ホームページに掲載するだけの会社がほとんどです。
このため、利用者が知らない間に、実は廃業していたということがよくあります。
現在、取引中の会社が廃業しているかどうかは、金融庁ホームページ内、「登録貸金業者情報検索入力ページ」で登録があるかどうかチェックすることでわかります。
この検索でヒットしなければ廃業している可能性が高いので、管轄行政に問い合わせすることをおすすめします。
●指定信用情報機関に反映されない!?
廃業業者は、通常、指定信用情報機関も退会しますが、そうすると、指定信用情報機関からも、その業者からの利用情報が抹消されてしまいます。
そのため、このような、みなし貸金業者との取引がある方が、新しくキャッシングの申込みをした場合、わざわざ自己申告しない限り、みなし貸金業者との取引は、先方に把握されることはないのです。
(場合によっては、「総量規制」でも借入れできてしまうこともあります。)
また、みなし貸金業者との取引で、返済がルーズだったり、法的処置を取られていても、他の正規登録業者の返済さえ問題なければ、同様の理由で借入れできてしまったりするケースもあります。
(このようなケースが生じるのは、あくまで、「みなし貸金業」に限ります。債権譲渡などの場合は、譲渡先の業者が指定信用情報機関に登録することになっています。)
●サービス低下はやむを得ない
貸金業者が廃業して、みなし貸金業になっても、実際は、追加融資が受けられなくなるだけで、返済などについては、特に従来とは変わらないことがほとんどです。
もちろん、そのことを理由にした一括請求をされることはできません。
但し、廃業業者は、社内での人員整理も行っており、従来よりも、確実にサービス内容は低下します。
割り切って長期で返済してゆくのも良いですが、早めに、取引を終了してしまうことをおすすめします。