消費者金融のリボルビング方式って何?
消費者金融の契約形態と言えば「リボルビング方式」が一般的ですが、その内容をきちんと理解している人は実は少数です。
このリボルビング方式は非常に利便性が高く、消費者金融の代名詞のようになっていますが、よく内容を理解したうえで使用しないと、知らないうちに借入れが増えてしまったということにもなりかねません。
この章では「リボルビング方式」について詳しく解説していきます。
この機会に是非、理解を深めておきましょう。
Contents
消費者金融の主な契約形態
●2種類の契約形態
消費者金融の契約形態は大きく下記2種類に分類できます。
- リボルビング方式(極度方式基本契約)
- 元利均等方式
この2つの大きな違いは、元利均等方式が、一旦、借入れしたら途中で出金ができず、返済のみということに対して、リボルビング方式は、「定められた限度額の範囲内で、繰り返し入出金が可能」だということです。
どちらの商品を利用するかは、利用者が選択することもできますが、審査によっては、元利均等方式しか利用できないケースもあります。
●残高スライドリボルビング方式が人気
リボルビング方式の中でも、多くの消費者金融で採用されているのは「残高スライドリボルビング方式」という契約形態です。
「残高スライド」とは、利用残高に応じて毎月の返済金額が変動する契約形態で、
例えば、
10万円以下・・4,000円
10万円超~20万円以下・・8,000円
20万円以上~30万円以下・・12,000円
と残高が多ければ返済金額は多く、残高が少なければ返済金額は少なくなります。
このことをきちんと把握していないと、月々の返済金額が足りなかったり、逆に、本来返済金額が軽減されているのに、それに気づかないで多めの金額の返済を続けることになったりしてしまいます。
但し、残高スライドリボルビング方式では、いつも最低額の返済しかしていなければ、元金の減少は少ないので、完済するまでにかなりの期間がかかってしまうことになります。
完済までの期間が長引いた分、総支払額は多くなり、結果、より多くの利息の支払いをすることになってしまいます。
すなわち、残高スライドリボルビング方式とは、月々の返済金額の負担は軽減されるが、返済回数が長くなり総支払額は上がる契約形態ということです。
いずれにしても消費者金融を利用する場合は、自分の契約が、どちらの契約形態なのかを理解しておく必要があります。
リボルビング方式のメリット
前述したように、リボルビング方式は元利均等方式に比べて、メリットが大きな商品であることは間違いありません。
具体的にリボルビング方式のメリットを見ていきましょう。
●必要な時に必要な金額だけ借り入れが可能
リボルビング方式は、定められた限度額の範囲内であれば、必要な時に必要な金額だけ借り入れすることが出来ます。
このため以下のように利用することも可能です。
例1)
限度50万円の契約で最初に50万円借りた。返済を続けた結果、残高が45万円になったところで新たに入用ができたので、枠内で2万円を出金して残高は47万円になった。
例2)
限度50万円で契約したが、当面必要な金額は20万円だけなので、最初は20万円だけ借りて、残りの30万円の枠は必要な時のために空けておいた。
●契約を継続したまま完済出来る
全額完済する時も、「包括残高0円」という形で契約を継続したままにすることも可能です。
そうすれば再度利用をする時も、契約書類を改めて取り交わさなくても、いつでも出金することが可能です。
●限度枠のみ確保して、必要な時に出金することが出来る
新規契約した時も、将来必要な時に備えて、「残高0円」のまま限度枠だけを確保しておくことが可能です。
もちろん出金をしない限り、利息はかかりませんし、いざという時の備えにもなります。
但し、あまりに何年も残高0円の状態が続くと、各消費者金融の規約によっては、解約扱いとなる可能性もあるので注意が必要です。
リボルビング方式のデメリット
リボルビング方式は便利な反面、以下のようなデメリットもあります。
●なかなか借入額が減少しない
何度でも繰り返し借入ができるため、「安易な借り癖」がついてしまい、いつまでも借金が減らなくなる方もいます。
リボルビング方式を利用する際は、強い意志と計画性が求められます。
●突然、出金ができなくなる場合がある
消費者金融は、リボルビング方式で契約を締結した場合は、「総量規制」に抵触しているかどうか、下記対象者に対して、指定信用情報機関を利用した定期調査が義務付けられています。
- 貸付残高10万円超えが対象
- 3カ月に1回以上調査
- 1カ月の貸付額が5万円超の場合はその都度調査
この定期調査の結果、借入れ額の増加などで、「総量規制」に抵触していることが判明した場合は、消費者金融は利用限度額の減額や出金停止の措置を講じることになります。
しかも、この利用限度額の減額や出金停止措置は、ほとんどが顧客に告知なく行われるので要注意です。
また消費者金融によっては、この定期調査の機会に、債権チェックも兼ねている会社もあるので、たとえ総量規制に抵触していなかったとしても、指定信用情報機関の情報から他社延滞が判明したり、その消費者金融の支払いが遅れがちになったりしている場合なども、出金停止される可能性もあります。
もし、限度枠の空きを期待して、資金計画を立てていた場合、このような突然の出金停止は、かなり困ってしまうことになります。
(消費者金融会社に苦情を申し立てても、まず出金はしてもらえません。また、何らかの原因で出金停止措置が講じられている場合は、他社でも審査は通りにくく、新たな借入れ先も簡単に見つからない可能性が大です。)
このように、リボルビング方式では、利用限度額は突然ストップされる場合もあるということを十分認識して計画的に利用をしてください。
利用枠が空いていても、出金できる状態なのか、こまめにチェックしておくことをおすすめします。
●定期的に「収入証明書類」の提出が必要
返済能力調査のため、消費者金融に提出した「収入証明書類」は、原則、その発行日から3年間は有効です。(貸金業者が、その書面が発行された日から起算して2年を経過した日以後、1年以内に顧客の勤務先に変更がないことを確認した場合には、発行日から5年間有効になります。)
すなわち、リボルビング方式を継続してゆくには、概ね3年に1度は、収入証明書類の再提出が必要になるということです。
限度額は出来る限り高くするのがおすすめ
利用者の中には、せっかく消費者金融から高い限度額を提示されたのに、必要な金額と同じ限度額しか設定しないという人もいます。
もちろん不必要なお金を借りる必要は全くありませんが、以下のような理由からも、出来る限り高い限度額を設定しておくことをおすすめします。
●限度額10万円程度は信用が低い証
消費者金融では信用の低い顧客に対しては、限度10万円程度という決裁をすることがあります。
得られる利息収入は少なくなりますが、信用の低い顧客の初回利用限度額を、なるべく低く抑えてリスクを回避し、取引実績が良好な顧客は後ほど増額するという作戦です。
決裁者の心理としては、他社が、軒並み限度10万円以下しか融資していないのに、自社で高い限度額は設置しにくいものです。
その逆に、他社が高額の融資をしていると、自社でも高い限度額を設定しやすくなるということもあります。
このように、限度額を低くしてしまうと、自分自身の信用を低くしてしまう可能性があります。
●後から増額できないこともある
また、最初の限度額は当面、必要な分だけにして、さらに必要になったら増額してもらおうと思っている人もいるかもしれませんが、必要な時にタイミングよく増額してもらえる保証はどこにもありません。
消費者金融の審査基準は流動的です。
特に、中小消費者金融の場合は、審査基準が資金調達に左右されることがあるので、たとえ返済が一度も遅れていなくても増額してもらえない可能性もあります。
このようなことからも、与えられた限度額は、遠慮せず、目一杯、設定しておく方が無難でしょう。
もちろん必要以上の金額を借りることはなく、枠だけ設けておいて、お金は必要な分だけ引き出すようにすればよいのです。
限度額9.9万円の秘密
中小消費者金融の審査では、「限度額9.9万円」という決裁がよく見られます。
なぜ、限度10万円でなく、限度9.9万円なのでしょうか。
普通の感覚であれば、あと千円だけ上乗せして、限度10万円にした方が、すっきりするはずです。
実は中小消費者金融がこの限度9.9万円を多用するのには秘密があります。
現在の法律での上限金利は、
- 元本の額が10万円未満の場合・・年率20.0%
- 元本の額が10万円以上100万円未満の場合・・年率18.0%
- 元本の額が100万円以上の場合・・年率15.0%
となっています。
このように10万円以上と10万円未満は上限利率の境目になっているので、消費者金融は限度9.9万円にすることで、限度10万円にするよりも、2%多く、利息をとることができるのです。
同じ現象は、限度100万円と限度99万円との間でも発生します。
限度100万円を年率15.0%で貸付けするよりも、限度99万円を年率18.0%で貸付けする方が、消費者金融会社にとっては断然有利になるのです。
しかし利用者側の立場からすると真逆のことが言えるので、限度10万円や、限度100万円の決裁がでる会社は、良心的だと言えるでしょう。