自然災害で被災した場合の返済について
地震、大雨、洪水、津波など、日本は世界でも有数の「災害大国」です。
残念ながら、このような自然災害の影響で、突如クレジット、ローンの返済が困難になってしまうことがあるかもしれません。これは決して他人事ではありません。
そのような場合はどうすればよいのでしょうか。
※追記(2020年4月26日)
いわゆる「自然災害」だけでなく、この度、新型コロナウイルス感染症の影響によって返済困難となってしまった方についても金融庁、日本貸金業協会、信用情報機関から各金融機関に対して、以下のような要請が出ています。
・不利益を被らないよう、柔軟かつ適切な対応を図る。
・返済猶予をした場合、信用情報の登録に「延滞情報」など不利益となる情報を登録しないようにする。
該当する方は、早めに、相談して下さい。
※追記(2020年12月1日)
新型コロナウイルス感染症の影響で返済が立ち行かなくなり、自己破産などの法的整理の要件に該当することとなった個人・個人事業主の生活や事業の再建を支援するため、
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の特則ができました。(適用開始日:2020年12月1日)
この特則では、一定の要件を満たせば、住宅ローンに加え、カードローン等その他の債務を抱える個人・個人事業主について、住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の免除・減免を申し出ることができます。
まずは、もっとも多額のローン借入先の金融機関に電話で問い合わせてください。
Contents
自然災害に対する業界の取り組み
●自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインとは
東日本大震災以降、金融業界においても自然災害に対する意識は高まり、このような自然災害による被災から、個人や個人事業主の債務者を救済するために、平成27年9月2日に、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が取りまとめられました。
自然災害による被災者の債務整理とは、「破産や倒産などをせずに、特定調停手続きを活用した債務整理によって債務免除を行うこと」です。
このガイドラインは、住宅ローンや事業性ローンなど、大型ローンを想定している内容になっていますが、消費者金融などカードローン会社に対しても、行政や業界団体から、このガイドラインに沿った対応をとるよう求められています。
●債務整理の対象者
対象者は平成27年9月以降に、災害救助法の適用を受けた自然災害の影響による被災者で、下記条件の方です。
- 個人や個人事業主で被災された方(法人は除外)
- 被災前は住宅ローンなどの借入れをきちんと返済をしていた方
- 自然災害の影響で返済が困難となった方(または、近い将来、返済困難となることが確実な方)
●債務整理のメリット
①手続き支援が無料
弁護士などの「登録支援専門家」による手続き支援が無料で受けられる。
②財産の一部を手元に残せる
具体的には、被災状況や生活状況による。
③信用情報機関に登録されない
債務整理をしたことが信用情報に登録されないので、新たな借入れに影響しない。
このようなガイドラインが出されたことによって、現在、カードローン業界は、「自然災害によって返済が困難になった方に対して、強硬な取り立てをせず、支払猶予などを含め柔軟な対応を行う」という風潮になってきています。
そのため実際に債務整理までしなくても、一時的な返済猶予であれば応じてもらえる可能性は高くなっています。
実際、日本貸金業協会からは会員の貸金業者に対して、下記の内容の通達を出しています。
- 被災者からの借入申込みや債務の支払条件の変更申込み等の相談等について、被災者の要請内容や被災状況等の生活実態を踏まえて、きめ細かく丁寧に対応すること。
- 督促等の回収業務にあたっては、特に被災状況等を十分に配慮したうえでカウンセリングを中心とした対応に努めること。
各信用情報機関の取り組み
また、このような自然災害による被災によって、被災地域の方が不利益を被らないように、各信用情報機関では、以下のような取り組みをしています。
●㈱日本信用情報機関(通称:JICC)の場合
JICCでは、災害救助法が適用される大規模災害が発生した場合、被災地域に住所がある方の信用情報に対して、「自宅住所が災害救助法適用地域です。(機関コメント登録時点)」というコメントが、原則1年間表示されることになっています。
このコメントが表示されている人は、仮に返済遅れの状態であっても、被災を原因とした、やむを得ないものかもしれないと推測できるということです。
尚、コメントは引っ越ししても掲載されたままになります。
また、開示に関しても、「り災証明書」、「被災証明書」を提示すれば、手数料無料で対応してもらえます。
●㈱シー・アイ・シー(通称:CIC)の場合
CICでも、災害救助法が適用される大規模災害が発生した場合、被災地域に住所がある方の信用情報に対して、「災害救助法適用地域です」というコメントが原則、1年間表示されることになっています。
また、開示に関しても、JICCと同様に、「り災証明書」、「被災証明書」を提示すれば、手数料無料で対応してもらえます。
日本貸金業協会に相談することも可能
このように、消費者金融などカードローン業界においても、自然災害の影響で返済が困難になってしまった方の救済措置は講じられています。
返済猶予などの相談に関しては、まずは、取引しているカードローン会社に直接連絡してみて下さい。
このような災害時に強硬な取り立てをする業者は、正規登録業者ではまずいませんが、もしそこで、十分な対応をしてもらえないような時は、日本貸金業協会に相談窓口があるので、そちらに相談することをおすすめします。
※貸金業相談・紛争解決センター
℡:ナビダイヤル0570-051-051 または、03-5739-3861
受付時間:9:00~17:00(土日祝 12/29~1/4を除く)