消費者金融の契約条項を徹底解説

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消費者金融との契約は、各条項に専門用語も多く、一般の方にはわかりにくくなっているので、自分がどんな契約をしているのかあまりよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、うっかり知らないまま契約を続けていると、思わぬ不利益を被ることにもなりかねません。
ここでは、わかりにくい専門用語の解説を含め、消費者金融との契約条項を詳しく解説しています。
この機会にしっかりと覚えておきましょう。

ライター
契約書に記載されている、契約条項を読んでいる人はほとんどいません。また、読んでも、専門用語が多くて、意味がわからないと思います。この章を参考に読み解いていきましょう。

契約締結前交付書面(事前書面)とは

消費者金融はお客と契約をする前には、必ず、「契約締結前交付書面(事前書面)」を交付することが義務付けられています。
これは、契約の中身をよく理解してから契約するよう、事前に、お客に契約内容を説明する
ための書面で、正式には貸金業法16条の2第1項の書面と言います。

この「契約締結前交付書面(事前書面)」に記載すべき事項は、

  • 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
  • 貸付けの金額
  • 貸付けの利率
  • 返済の方式
  • 返済期間及び返済回数
  • 賠償額の予定(違約金を含む。以下同じ。)に関する定めがあるときは、その内容
  • 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

など多岐にわたり、実際に契約を結ぶ際の契約書とほぼ同等の記載事項になります。

本当は契約をよく理解するためにもじっくり読み込んだほうがよいのですが、消費者金融と契約する際に、その契約内容を隅々まで読んで理解し、納得してから契約する方は、ほとんどおらず、実際の契約書を交付する時とほぼ同じタイミングで、形式的に交付書面するだけの書面になってしまっているのが現実です。

しかし、形式上といえども業者には交付する義務が課せられていますから、

  • 電磁媒体で交付する
  • 公式HPの「申込みフォーム」に掲載する
  • 契約書類を郵送する際に同封する

など、交付方法は各社様々に工夫をしています。

2種類の契約形態

消費者金融の商品は、契約形態で分けると以下の2種類になります。
まずは、自分の契約がどの契約形態なのかを把握しておきましょう。

  1. リボルビング契約・・定められた限度枠内で自由に入金と出金が可能
  2. 元利均等契約・・借入れた後は返済のみの契約

どちらの契約も一長一短で、リボルビング契約は利便性がよい反面、入出金を繰り返すので、なかなか借入残高が減りにくいという特徴があります。
かたや、元利均等契約は、利便性が悪いのですが、確実に借入残高は減っていきます。
消費者金融の契約では8割方、利便性のよいリボルビング契約が採用されています。

契約期限について

契約期限は、各契約形態によって異なります。

●リボルビング契約の契約期限

リボルビング契約の場合は、契約期限は、1年~5年ほどに設定されています。
そして、消費者金融または利用者から、契約を延長しない申し出がない限り、契約は自動延長されてゆくのが一般的です。

消費者金融側から自動延長されないケースは、よほどの「延滞」がある場合や、債務整理などで和解して返済方法が元利均等に変わった場合等が考えられますが、通常の取引をしていればまず問題なく延長されます。

また、もし、契約期限が延長されなくて、契約期限が切れてしまっても、通常はそれを理由に一括返済を求められることはなく、枠内追加がストップするのが一般的です。
中には、規約上、「契約期限が延長されない場合は期限までに債務全てを返済する」となっている会社もありますが、契約期限切れを理由に、一括返済を求められることはまずありません。

●元利均等契約の契約期限

対して、元利均等契約は、最初から返済金額、返済回数が決まっているので、原則、契約期限が延長されることはありません。
返済に遅れることなく、予定通り返済していれば、必ず契約期限で完済するからです。

しかし、契約の途中で、返済遅れがあると、契約期限内に完済出来なくなってしまうこともあります。
その場合、完済するまで、損害利息が計上されるので注意が必要です。

総返済額について

●総返済額の記載は義務付けられている

現在の貸金業法では、消費者金融に、契約を締結した際は、「将来に支払う返済金額の合計額」を利用者に交付することが義務付けられています。
(将来に支払う返済金額の合計額は、返済サイクルや返済額によって異なってくるので、「必要な仮定を置いた内容」で良いとされています。)

そして多くの場合は、契約書にその内容の記載が盛り込まれているので、目にしている方も多いと思います。
例えば、50万円を年率18.0%で利用し、毎月、13,000円の支払いをしていった場合は、総額で約75万円もの支払いをすることになります。

このように、自分自身が利用する金額が将来に渡ってどのような負担になるのかを把握するのは、利用する際の目安にもなります。
しかし、ケースによっては、ここで記されている金額よりも、結果、かなり多くの金額支払うことになってしまうこともあり得るので注意が必要です。

●残高スライドの場合は総返済額に要注意

現在、多くの消費者金融会社が、「残高スライド」という返済方式を採用しています。
「残高スライド」とは、利用残高に応じて毎月の返済金額が変動する契約形態です。
当然ながら、利用残高が多ければ、返済金額も多く、少なければ、返済金額も少なくなってゆきます。

しかし、この返済方式で、常に最低額の支払いしかしなければ、月々の返済負担は減りますが、元金の減少は少なく、結果、完済するまでにかなりの期間と金額が必要になってきます。

しかし、先に述べたように、消費者金融の契約書に記載してある、総返済額は、残高スライドで返済額も減少していった内容の記載にはなっておらず、毎月、固定金額を完済に至るまで支払ったものになっているので、注意が必要です。

先に、50万円を年率18.0%で利用して、毎月、13,000円の支払いをしていった場合の例を示しましたが、総額約75万円ですむのは、毎月13,000円を固定で支払った場合のことで、利用金額に応じて、支払金額を下げてゆけば、結果、75万円以上の支払いをすることになってしまうのです。

●追加融資の都度、総返済額も変わる

また、途中で追加融資を受ければ、最初に提示された仮定の総返済金額も変わってきます。
もちろん追加融資時も、その時点で、新たな総返済額が交付されますが、最初に利用契約を締結した際の仮定の金額とは異なってきます。

このように、常に最低返済額しか支払いをしない場合や、追加融資を繰り返し利用していた場合は、当初の予定通りの期間と金額では完済できないケースもあるので、注意が必要です。

期限の利益の喪失

●期限の利益の喪失とは

消費者金融の契約約款には、必ず、「期限の利益の喪失」についての条項があります。

そもそも「期限の利益」とは、期限の到来まで債務の履行をしなくてもよいという債務者の利益のことを言います。
わかりやすく言うと、一定の期限が来るまで、支払いをしなくてもよい権利のことです。
「期限の利益の喪失」とは、この一定期間の支払い猶予の権利が無くなり、期限の到来前でも債務の履行の請求をされるようになることを指します。

一般的な消費者金融の契約条項に記載されている期限の利益の喪失する場合とは、以下のような内容が一般的です。

  • 申込み時に虚偽申告をしたことが判明した場合
  • 破産申立または民事再生、特別清算、会社更生手続開始の申立があったとき
  • 本契約に基づく債務の支払を一回でも怠ったとき

中でも、3つ目の内容は厳しく、要するに、「たった一度でも支払いを延滞した場合には、全額返済を請求されます。」と記載されているのです。

●期限の利益喪失後は、損害利息が計上される!?

また、期限の利益の喪失をすると、請求額は、月々の分割金ではなく、全額になります。
このため、全額返済をするまでは、一部の入金があっても、請求額の返済がなされていないので、遅延損害利率と言って通常より高い利率が計上されることになります。
(ほとんどの消費者金融の遅延損害利率は上限利率である、20%ぎりぎりに設定しています。)

ただし実際の現場では、一度支払いが遅れたくらいで、期限の利益を喪失させるケースはほとんどありません。
しかし、契約条項に盛り込まれている以上、一度でも延滞したら、全額請求をされてもおかしくはないということは覚えておくべきでしょう。

●法的は過去に遡って期失されているかも!?

消費者金融が、訴訟など法的処置を講じる際は、この期限の利益の喪失を理由に、初めて遅れた時に遡って、損害利率で再計算した取引履歴を提出するケースがあります。
損害利率で再計算されれば、残元金は増加することになりますが、債務者側がこれに対して何の反論もしなければ、その残元金を基にした判決がでてしまうのです。

念書・覚書の類には要注意

●よくある念書・覚書の内容

最近はあまり見かけなくなりましたが、かつて消費者金融会社では、顧客に返済意識を持たせるための手段として、融資をする際に念書や覚書などを一筆取るケースがよくありました。
その内容としては、

  • 私は自己破産や債務整理を致しません。
  • 自己破産、債務整理をしても貴社は除いて返済は完済するまで続けます。
  • 返済怠った場合は、親、兄弟を連帯保証人として差し出します。
  • 過払い金返還請求は致しません。

概ねこのようなものが多かったようです。

さすがにここまで露骨な内容の文書は、最近、見かけなくなりましたが、いずれも貸し手の優位な立場を利用して、無理に書かせたものなので、実際の効力はありません。
それは、念書を取得する消費者金融会社も心得ていますから、実際に自己破産をしない旨の念書を取得していても、それを盾に、破産は無効などと訴える会社はありません。
(あくまで、このような念書・覚書の類は、取得することで、顧客にプレッシャーをかけてその行為を抑制するのが目的です。)

●よくわからない念書・覚書については協会に相談

念書・覚書を取得すること自体は違法行為ではありませんが、問題はその内容です。
契約締結時に、お金を借りたい一心で、不当な内容の念書を書いてしまったということは、あり得ることです。
また、素人の方には、その書類が契約締結上、必要なものなのか、不当な念書の類なのかの区別もつきにくいと思います。

もし、消費者金融会社と契約する際によくわからない書類を取られるようであれば、日本貸金業協会に相談することをおすすめします。

     審査が通る中小消費者金融

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