なぜ中小消費者金融が活躍できるのか!
改正貸金業法施行前後に、かなりの中小消費者金融が淘汰されましたが、生き残った会社や、新しく事業を開始した業者は以前にもまして貸付けを強化しているので注目です。
上限金利の引き下げや、総量規制の導入など、貸金業者にとっては一見、ネガティブな要因も多い中、どうして貸付けを強化できるのでしょうか。その秘密を探りたいと思います。
Contents
中小消費者金融が貸付けを強化出来る秘密
今日のように、中小消費者金融が貸付けを強化し続けられるのは、実は、一見、ネガティブな要因にも見える、改正貸金業法が大きく影響しています。
もちろん改正貸金業法によって淘汰されてしまった消費者金融も多くありますが、そのことによって逆に貸付けを強化出来るようになった消費者金融もあるのです。
それは、次のようなことが原因で、不良債権や詐欺の発生が抑えられたことが要因となっています。
詳しく解説していきましょう。
●競合他社が減少して過剰な競争がなくなった
かつて、中小消費者金融が多数存在していた時期は、各社の競争が激しく、そのことが必ずしも健全な方向に向いていませんでした。
たとえば、総量規制が導入されていなかった時代は、既に数百万円の負債を抱えている、無職、無収入の専業主婦にでさえ、さらに追い貸しをするようなことも普通に行われていました。
また、インターネットや電話受付で、即日融資を行っている業者も、身分証明書の確認や在籍確認を省いたりするなど、ろくに本人確認を行わないで、即日融資を実施するなど、スピード重視で、かなり乱暴な融資も実際に行われていました。
このような融資方法を採用すれば、おのずと不良債権は増加しますが、高い金利が、そのことを補っているような状態でした。
現在は、全体の業者数が減ったため他社との過剰な競争を強いられることがなく、融資方法はかなり健全化しています。
その結果、本来融資をすべき状況にない方に無理をして融資する必要はなくなり、不良債権の発生率は以前よりも低下している傾向にあります。
●上限金利の引き下げと総量規制をセットで導入した効果
総量規制の導入によって、貸金業者は貸付対象者をかなり限定されることになりました。 総量規制は、その他の要因を一切無視して、単純に年収額で借入額の制限をしたものですが、多重債務者の発生に一定の効果があったことは間違いありません。
2010年の法改正が、もし、総量規制の導入なくして、金利の引き下げのみであったら、各業者はそれまでの収益を維持するために、さらなる過剰貸し付けに走っていたはずです。
(事実、平成12年に上限金利が40.004%から29.20%へ引き下げられたときは、各貸金業者は、過剰貸付けの方向に向かいました。)
改正貸金業法では、「上限金利の引き下げ」と「総量規制」をセットで導入したことによって、融資した顧客が多重債務者になって破綻する可能性は格段に低くなりました。
●様々な規制が、がかえって幸いした
現在は、いわゆる「マネーロンダリング」の問題や「反社会的勢力排除」の問題などで、金融機関に対して、本人確認は厳しく義務付けられるようになりました。
銀行に複数の口座を作成することも制限されています。
また、「オレオレ詐欺」などの被害が社会問題化して、一度にATMで取引できる上限額も抑えられています。
このように、悪質な反社会的勢力や詐欺が社会問題化したことで、金融機関に課せられる規制はかなり厳しくなりました。
このことで利便性は悪くなりましたが、貸金業者の詐欺や不良債権の発生率が抑えられていることは否めません。
市場の競争にむやみに規制を入れるべきではないとも言われていますが、こと貸金業に関しては、かえって健全化につながり、生き残った中小消費者金融の経営を支えています。
貸付け強化している業者の特徴
またイマドキ貸付けを強化している中小消費者金融は以下のような特徴を備えています。
●インターネットキャッシングを採用
近年は多くの消費者金融がインターネットキャッシングを採用しています。 それは次のような理由からです。
- 申込者の利便性が向上
・パソコンやスマートフォンの普及により申込みしやすい。
・24時間365日申込みが可能。 - 業者側の作業効率が向上
・店舗展開をしなくとも、融資可能エリアを全国に拡大できる。
・対面与信と比べて、審査に費やす時間が短縮でき、大量の申込みを取り扱うことができる。
このように、申込者、消費者金融業者、共に、メリットが大きいので、インターネットキャッシングが主流になることは自然な流れです。
今まで地元密着型の営業スタイルであった会社がインターネットキャッシングで融資エリアを全国に拡大することも最近は多く見られます。
このような傾向は今後もますます増えてゆくでしょう。
●小口融資に特化している
そもそも消費者金融を利用する最大のメリットは「簡易な審査でスピード融資がが可能」ということです。
バリエーションに富んだ商品も魅力のひとつですが、ユーザーからの要望が強いのはやはり小口融資を強化です。
小口融資は消費者金融側からも、件数を抱えるコストはかかりますが、リスク分散ができるので、債権の安定化を図れます。
一時、「おまとめローン」など大口融資が注目された時期もありましたが、もともと大口融資は消費者金融の専門ではありません。
現在活躍中の中小消費者金融は軒並み、小口融資に特化しています。