日本貸金業協会に加入していない会社ってどうなの?
いわゆる「違法の闇金業者」だけでなく、正規登録業者の中にも、日本貸金業協会に加入していない会社は数多く存在します。
はたしてこのような会社を利用することは問題ないのでしょうか。
今回は、日本貸金業協会未加入業者の取り扱いについて、業界裏話も交えて詳しく説明していきます。
Contents
まずは日本貸金業協会のおさらい
まず日本貸金業協会について簡単におさらいしておきましょう。
日本貸金業協会は、2007年12月に発足した、貸金業者の自主規制機関で、その主な活動は以下のようになっています。
- 自主規制基本規則の制定
- 相談対応、苦情処理、紛争解決
- 会員への監査の実施
日本貸金業協会はこのような活動を通して、資金需要者の保護や貸金業者の適正化に努めているとされています。
日本貸金業協会への加盟は、義務化はされていないものの、本来、行政と協会が両輪となって、業界の管理、監督を行っていくという趣旨があるのです。
日本貸金業協会の加入率
しかしこのような趣旨のもと発足した日本貸金業協会ですが、貸金業者の加入率は決して高くはありません。
発足当時の加入率は、なんと37%ほどしかないような状態でした。
その後、徐々に加入率は上がり、2020年11月時点の加入率は63.8%までになりましたが、内訳を見ると、財務局登録業者が93.8%に対し、都道府県登録業者は57.9%となっています。
つまり日本貸金業協会には、大手消費者金融のほとんどは加入しているものの、いまだに中小消費者金融の半数ほどは未加入の状態だということです。
中小消費者金融業者の未加入率が全体の加入率を引き下げているということです。
中小消費者金融の加入率はなぜ低いのか
ではどうしてこんなにも中小貸金業者の加入率が低いのでしょうか。
それは次のようなことが要因になっています。
①メリットがほとんどないと思われている
中小貸金業者の加入率が低いのは、ズバリ、業者から「現在の日本貸金業協会に加入するメリットがほとんどない」と思われているからです。
かつて(貸金業法改正以前)の貸金業協会は、公益法人として都道府県ごとに、1つ設置されていました。(○○県貸金業協会という名称でした。)
そしてその各都道府県の貸金業協会の連合会として全国貸金業協会連合会があるという、いわば二重構造になっていました。
そのため各都道府県の貸金業協会の会長などの役職には地元の貸金業者の経営者が就任することも多く、どちらかというと貸金業者の「寄り合い組織」のようになっていたのです。
また当時の貸金業協会の会合などは、小規模業者にとっては地元業者との意見交換や交流の場であったと思われます。
しかし現在の日本貸金業協会は各都道府県に支部の設置はありますが、東京にある本部が一本で統括していて、都道府県単位の独立した組織ではなくなってしまいました。
このように現在の貸金業協会は、法改正によって編成されて統治体制が大きく変わってしまったのです。
もちろん、そのことで組織として、より一体的に機能することが可能となり、充実した自主規制機能を発揮できるようになりましたし、業者寄りの慣れあい体質も排除されたのは事実です。
しかし反面そのことは中小貸金業者にとって、
「貸金業協会は以前のように業者側に立って対応してくれる組織でなくなった。」
「貸金業者を厳しく管理監督する役人に近い存在になった。」
と貸金業協会に対してのマイナスイメージ抱かせることにもなってしまったのです。
②閉鎖的な体質が原因
中小消費者金融の特徴のひとつに、良くも悪くも、“閉鎖的で独自路線”ということがあります。
中小消費者金融同士は、ほとんど横の付き合いがなく、他業者のことに無関心です。
はっきり言えば、「自分勝手な会社が多い」ということです。
ただ、中小消費者金融にも言い分はあって、そもそも中小消費者金融同士で情報交換、意見交換などをするような場もありません。
かつては、各都道府県に設置されていた貸金業協会が、その役割を果たしていましたが、現在はそのような組織もなくなってしまいました。
実際、現在の日本貸金業協会は大手主導で、中小消費者金融に寄り添ってくれる団体ではないと感じている中小消費者金融経営者は多くいます。
日本貸金業協会の課題
前述したように日本貸金業協会への加入は強制されてはいません。
憲法で保障されている結社の自由との関係で強制することは困難だからです。
しかし他業界の自主規制団体の中には、加入しなければ実質営業ができないような仕組みになっていて、ほぼ100%近い加入率を維持しているものもあります。
そこまでするかはともかく、中小貸金業者の加入率を上げてゆくことは急務です。
中小貸金業者の一部には、様々な手口でお金を騙し取ろうとする悪質な業者も残念ながら見受けられます。
それら悪質業者を排除してゆくには、行政による管理監督だけでは足りません。やはり業界の自主規制機関である日本貸金業協会による管理監督も必要となってきます。
このような観点から考えると、日本貸金業協会に未加入の業者に素人判断で申込みするのは危険なので避けた方が無難です。
※当サイトの【審査が通る中小消費者金融】では、日本貸金業協会未加入の業者でも安全性を確認したうえで紹介しているので参考にしてください。
今後、日本貸金業協会には、早い段階で協会への加入率を100%近くまで上げて、そのような悪質業者を生みださぬよう業界の管理者として立場を確立してゆくことが求められています。