取り立て方法の集中講義(訪問集金)

0 Comments

はじめに

ひと昔前の中小消費者金融では、「取り立て」と言えば、自宅への「訪問集金」がメインでしたが、最近は集金業務を行う業者はめっきり減ってしまいました。

営業スタイルを、地域密着型から全国展開型へ変更している会社が多いので、そもそも訪問可能な範囲に顧客が住んでいないというのも理由の一つでしょう。

そのため若手の消費者金融社員の中には、一度も集金に出たことがない人もいるのではないでしょうか。

しかしタイミグがあえば訪問集金はまだまだ相当有効な回収手段であることは間違いありません。

そこで今回は、私の長年の経験から得た訪問集金のノウハウを徹底解説していきたいと思います。

消費者金融会社の若手社員はもちろん、この講義を聞くことで、これから消費者金融と渡り合う皆さんにとっても非常に有益な知識が身につくことを確信しております。

訪問は事前調査が重要

まず、最初に伝えておきたいことは、訪問集金は事前の準備が超重要だということです。
この事前準備で勝負の7割が決してしまうと言っても決して過言ではありません。

いくら訪問集金が有効だと言っても、なんの計画性もなくやたら出向いても、ほとんどが不在で、ただポストに督促状を投函してくるだけで終わってしまうことでしょう。
では事前準備とはどのようなことをすればよいのでしょうか。

①訪問予定の顧客を絞る

延滞している顧客、全てに訪問集金を行うことは非効率です。
基本的には連絡が取れない客だけに絞ります。

返済が遅れてから1週間くらいは、電話や郵便督促などで、入金約束をつけて、第一段階の絞り込みをします。
それでも連絡が取れず、残った延滞者が訪問集金対象者になります。

しかし、せっかく訪問に行っても、顧客が転居していたりすることもあるので、出来れば、さらに事前調査で居住確認を取りたいところです。

ここで、活躍するのが、「電報」です。
電報は、一般の人は、冠婚葬祭以外あまり馴染みがないかもしれませんが、消費者金融では顧客の居住確認をとる手段としてよく利用されています。

電報センターの配達員が現地まで電報を届けに行ってくれるので、そこで、あきらかに転居していることが判明した場合は無駄に訪問に行かなくてすむというわけです。

ちなみに郵便督促の場合は、転居していても郵便物が転居先に転送されていたり、集合ポスト等に手紙が入れっぱなしになっていたりとしばらく判明しない場合も多々あります。
早めに居住確認を取りたい場合、電報は有効です。

②訪問の行程(スケジュール)を組む

これである程度、訪問集金対象者が絞られました。
次は、地域エリアによってある程度分類し、訪問の行程を考えることになります。

訪問の基本は「夜討ち朝駆け」です。
貸金業法で、督促行為は、朝は8時から夜は9時までとされているので、基本的には、その中で、一番メインの顧客への訪問を、朝一番か、夜のラストにもっていくよう行程を組むことになります。

朝一番の時間を逃すと、顧客が仕事などで外出することも多くなるので、勝負の時間は、それほど長くはありません。
そのため、1回の訪問で、メインに据えられるのは、せいぜい1~2件程度です。
一番、いい時間帯をメイン顧客にあてて、あとは、近所の顧客をついでに回るといったイメージになるでしょう。

訪問集金は何人でいくべきか

そもそも訪問集金は何人でいくべきでしょうか。

私の意見ではベストは2人です。

そもそも貸金業法は、取り立て行為をするにあたり、「威迫」や「人の私生活もしくは業務の平穏を害するような言動」を禁止しています。
貸金業の自主規制基本規則には、それにあたるものとして、「多人数で訪問すること(例示として3人以上)」をあげているので、まず3人以上での訪問はあり得ません。

では1人ではなく2人が良いとしたのは次のようなメリットがあるからです。

  1. 顧客との間にトラブルが発生した際、片方の者が証人となることができる。
  2. 従業員と顧客の間で裏取引をさせないようにする。
  3. 暴力的な相手から従業員の安全性を確保する。
  4. 交渉の掛け合いがしやすい。

各消費者金融は、人手不足などで1回の訪問集金になかなか2人も人を割けないという事情もあるかもしれませんが、自己防衛のためにも、訪問集金は、二人一組とするのがベストでしょう。

まず現場でチェックすべきこと

では、いざ訪問現場に着きましたが、そこで何も考えずに早速チャイムを鳴らしてはいけません。
チャイムを鳴らしたり、ドアをノックしたりする前に、まずは「居住者の気配がないか」次の項目をチェックしておきます。

①窓から明かりが漏れていないかチェック

多くの場合、入り口側の窓はカーテンがかかっていて、中の様子はうかがえません。
そんな場合、たとえば建物の裏側に回って、明かりが漏れていたり、人の気配があったりしないかを確認しておくという方法を取ります。

②電気メーターの動きをチェック

多くの場合、電気メーターは、外から確認出来る位置に取り付けられています。
人が中に居る時と、誰もいない時では、電気メーターの動きは、全く違うものです。
一度、自分の家でチェックしておくとよくわかると思います。

③その他、生活感があるかどうかチェック

例えば、

  • 洗濯物が干されているか
  • 郵便受けに手紙、チラシ、新聞が溜まっていないか
  • 自転車などが置かれていないか

などなど、生活感があるかどうかは、実際に現場を見れば、よくわかるものです。

ここまでチェックしたうえで、チャイムを鳴らせば、もし出てこなくても、「不在」か「居留守」かは、なんとなく判断できるものです。

転居、夜逃げの可能性がある場合は

もし、生活感もなく、呼んでも誰も出てこない場合は、転居、夜逃げの可能性があります。 そのような時はできる範囲でさらに居住確認を行います。

①近隣住民に確認

転居の可能性がある場合は隣近所の住人に居住確認を取ります。
上手くいけば、
「〇〇さんでしたら、九州の実家に帰りました」
とか、
「〇〇さんなら、ここに住んでいるけどこの時間はいないよ。帰ってくるのは夜7時すぎやね。」
など、有益な情報をゲットすることが出来るかもしれません。
ただし、近隣住民に消費者金融の社名を名乗ったり、手紙を預けたりするなどの行為は、絶対にNGです。

②玄関ドアに細工を仕掛けることも

また顧客がそこに住んでいるのかどうかよくわからない時は、「玄関ドアに小さな紙を挟んでおく」という方法もあります。

そして、後日、訪問した際に、その紙が挟まったままかどうかで、帰宅しているかどうかを判断するというわけです。

もともと、不在である可能性が高いのに、わざわざ出向くわけですから、居住確認くらいはきちんととってくるのがプロの仕事でしょう。

現場での交渉は

さて、次は顧客が出て来て交渉する場合です。
ここでは、後日、顧客から、クレームが出ない対応が必要です。
「家にまで来て脅迫された」などと揚げ足取りをされないように言動には十分、注意すべきでしょう。

具体例をあげると、

①勧められても家には上がり込まない

勧められると、つい、顧客の家にノコノコ上がってしまうこともありますが、その後の交渉で顧客とトラブった場合、「勝手に上がり込んだ」なんて言いがかりをつけられても困ります。
話は玄関で行います。

②退去を求められたら、速やかに退散する

顧客が、家族に内緒であったり、来客中だったりする場合もあります。
退去を求められたら、話が出来なくても、後日、連絡するよう伝えて、速やかに退散しましょう。
退去を求められたのに居座ることは、貸金業法でも禁止されています。

訪問は「集金」よりも「信頼構築」が重要

せっかく訪問して、顧客が出てきたのであれば、なんとか現金を集金してゆきたいと思うのは人情です。
しかし、その場であまり強引な請求をすることは慎むべきです。

それよりも、せっかく顧客と面識を持つことが出来たわけなので、顧客との信頼関係を構築することが最も重要なことです。

そこで全額集金できるわけでなければ、顧客との関係は、今後も継続することになります。 この機会に、顧客との信頼関係をきちんと構築して、今後、返済が遅れるときは、連絡が入るように管理することです。

その方が、その場で無理やりいくらかの現金を集金するよりも、ずっと価値があることだと言えます。

そのことを踏まて、訪問に行っても、頭ごなしに説教するのではなく、ニコっと笑ってこう言って話を始めて下さい。
「〇〇さん、どうしちゃったんですか。連絡がないから心配してましたよ。」

     審査が通る中小消費者金融

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。