イマドキ「サラ金地獄」はあるのか!
かつて消費者金融は「サラ金」と呼ばれ、過剰貸付け、高金利、過酷な取立てなど、社会悪としてのイメージが定着していた時代がありました。
しかし、昭和58年の貸金業規制法成立を機に、貸付、金利、取立てなど段階的に規制され現在に至っています。
現在では、「サラ金地獄」という言葉はもはや死語と化していますが、いまだに消費者金融に偏見を持たれている方も多いのが事実です。
今回は、実際にイマドキ「サラ金地獄」という状態が発生し得るのか様々な観点から検証してみました。
Contents
イマドキ過剰貸付けはあるのか!
●総量規制によって大きく制限された
多重債務者を生む一番の原因は、業者による「過剰貸付け(貸し過ぎ)」です。
過剰貸付けの基準が、具体的に示されたのは、昭和58年の貸金業規制法に関する旧大蔵省通達からです。(それ以前は明確な基準はありませんでした。)
これによると、窓口における簡易な審査で無担保、無保証で貸し付ける場合の目安は、 「1業者あたり50万円又は年収額の10%相当」とされています。
これは、もちろんそれ以前に比べれば、大きな進展でしたが、業者に対する罰則規定はなく、不完全なものでした。
現在の貸金業法では、総量規制が導入され、年収の3分の1を超える貸付けは原則、禁止されています。
違反した場合、業者は行政処分の対象となるなど罰則規定も設け、以前に比べてさらに大きく進展しました。
●新たな過剰貸付け問題も
このように、総量規制によって、消費者金融による過剰貸付けは大きく制限されましたが、今度は「銀行カードローン」の過剰貸付けが問題視されるようになりました。
(銀行カードローンは、総量規制が適用されないため、消費者金融に代わる新たな受け皿として順調にカードローンの融資残高を伸ばし、2016年3月末には、ついに、消費者金融のカードローン残高を上回るまでになっていました。)
この問題も、
- 2017年9月に金融庁が銀行カードローンの実態調査のため「立ち入り検査」を行うと発表。
- 2017年10月に三井住友、三菱東京UFJ、みずほの3メガバンクが、カードローンの融資額を利用者の年収の2分の1や3分の1までとする自主ルールを導入したことが判明。
など対応をすすめているので、現在では沈静化しつつあります。
このように、現在では過剰貸付はかなり制限されています。
イマドキ高金利はあるのか!
金利制限も貸金業規制法成立から段階的に進展してきています。
それ以前の上限金利は109.5%であったものが、昭和58年に73.0%、昭和61年に54.75%、平成3年に40.004%、平成12年に29.2%と段階的に金利の引き下げが行われ、平成22年の改正では20.0%にまで下がりました。
尚、下記は、仮に10万円を借りて1か月(30日)経過した場合の利息を比較したものです。
・年率109.5%・・9,000円
・年率73.0%・・6,000円
・年率54.75%・・4,500円
・年率40.004%・・3,288円
・年率29.2%・・2,400円
・年率20.0%・・1,643円
このように金利自体は以前に比べて格段に低くなっています。
もはや高金利という利率ではないでしょう。
イマドキ過酷な取り立てはあるのか!
取立て行為の規制は昭和58年の貸金業規制法成立からありましたが、平成22年の施行の貸金業法では、それをベースに、より禁止行為が明確化されました。
規制内容は主だったもので、次のようなものがあります。
- 正当な理由なく、午後9時から午前8時までに、債務者の自宅を訪問すること
- 正当な理由なく、勤務先など、自宅以外の場所に連絡すること
- 債務者の自宅等を訪問した場合に、債務者から退去の要求があったにもかかわらず、退去しないこと
- 債務者以外の者に対して、借金の肩代わりを要求すること
現在の貸金業法では、この規制は貸金業者だけでなく無登録業者にも適用されます。さらに、委託を受けた者も規制対象とされました。
また、なによりも大きく変わったのは、世間の空気です。
かつては顧客への督促で多少、口調がきつくなることぐらいは、なんとなく黙認されている感じもありましたが、現在はそのようなことも許されない空気が社会全体にあるように思われます。
消費者金融も昔ながらの強面スタイルでは生き残っていけなくなってきています。
結論と課題
現在の消費者金融には、上記のようなかなり厳しい規制が設けられています。
これを遵守してまともに営業している正規登録会社を利用する限りいわゆる「サラ金地獄」とは無縁でしょう。
(無登録業者である「ヤミ金」の利用はもちろん問題外です。)
しかし最終的には、借り手側の自覚が一番重要です。くれぐれも借りすぎにはご注意下さい。