若者の自己破産・債務整理に一言!
最近、知り合いの金融マンが嘆いていましたが、「近年20代の若い世代の自己破産や債務整理が増加している」とのことです。
もちろん、昔から返済に行き詰って、自己破産や債務整理をする人はいましたし、統計上の自己破産件数だけで言えば、むしろ昔の方が多かったのも事実です。
(データー上の自己破産件数は、2003年のピーク以降、減少傾向です。2016年、2017年と、2年連続で前年比増加したものの、まだピーク時の3分の1以下の件数に抑えられています。)
しかし、最近は、若い世代を中心に、とても返済不能とは思えないほど少ない負債額なのに、安易に自己破産や債務整理の手続きを取る人が増えてきているという指摘です。
簡単にギブアップする若者が増えた?
この指摘には、筆者も心当たりがあります。
筆者は、金融情報サイトを運営していることもあって、キャッシングに関する疑問、質問に回答することも多くありますが、最近では、若い世代の方から次のような相談を受けることも多くなってきました。
「消費者金融からの借金が総額100万円くらいになって、なかなか減らないと思うので、債務整理を考えています。」
「14%~18%という金利が高く、なかなか借金が減っていかないので債務整理か自己破産をしたい」
もちろん、若い世代が正社員につけないとか、低収入だとか、最近の世情の問題もあるとは思いますが、数十年間、消費者金融業界の推移を見てきた立場として、不適切な表現かもしれませんが、「そのくらいのギブアップしてしまうんだ」というのが率直な感想です。
債務整理をすることに抵抗がなくなった
このようなことがおこる背景のひとつには、カードローンを利用する敷居が低くなっていることもあると思われます。
かつては、キャッシングに対して、「借金」というややネガティブな印象もあり、利用するには、それなりの覚悟と自覚が必要でした。
また、債務整理をすることについても、弁護士、司法書士事務所の、タレントを起用したテレビCMの影響もあって、依頼をするのに抵抗がなくなってきているということもあると思います。
もちろん、債務整理すること自体を否定するつもりはありませんが、借金をまともに返済しないことに対する、「恥じらい」の感覚はかなり薄くなっているようにも思えます。
誤解を恐れずに言えば、自己破産や債務整理に対して、返済に行き詰った時の最後の手段という考えではなく、「返済するのが嫌になったから、弁護士に頼んで借金をチャラにしてもらおう」という感覚の人が、若い世代を中心に増えてきたように感じるということです。
債務整理をしても大幅な減額にならないことも
しかし、最近契約したばかりの人は、債務整理をしても、実は、大して減額にはならない可能性もあるので注意が必要です。
2010年6月18日に改正貸金業法が施行されたことにより、消費者金融の上限金利は、利息制限法と同じ基準まで引き下げられ、それ以降に消費者金融と契約した人については、そもそも「グレーゾーン」は存在しません。
この場合、債務整理をしても減額できるのは、基本的に将来に渡る利息分だけということになります。
そのようなわずかな減額よりも、むしろ、信用情報に、「債務整理」という事故情報が5年間掲載されることのデメリットの方が大きい場合もあるのです。
(参考記事:債務整理って何?)
若い世代に伝えたいこと
今現在消費者金融を利用している、またはこれから利用を検討している20代の方に伝えたいことは、
「キャッシングはリスクと責任を伴う商品であることを十分自覚して欲しい」
とういうことです。
安易な自己破産や債務整理については、若いうちはあまり考えることはないかもしれませんが、これから先、住宅ローンを組む際などに、足かせになってしまうこともあります。
安易な自己破産や債務整理については、若いうちはあまり考えることはないかもしれませんが、これから先、住宅ローンを組む際などに、足かせになってしまうこともあります。
もちろん、返済に行き詰ってどうしようもない場合は、やむを得ないと思います。
ただ、返済するのが嫌になったという理由だけで、自己破産や債務整理をするのは、単に、弁護士や司法書士を儲けさせるだけで、デメリットの方が大きかったということにもなりかねません。
くれぐれも、ご注意下さい。