総量規制は本当に守られているのか

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ネット上ではいまだに「総量規制オーバーでも借りられる!」などという文言を見かけますが果たして総量規制はきちんと守られているのでしょうか?
それとも何らかの「脱法行為」が行われているのでしょうか?
「総量規制」が施行されてから既に10年ほど経過していますが、今回、その後の現場の実態についてレポートしてみました。

ライター
総量規制が導入されることが決まった当時、中小消費者金融業界では、「これでは貸せる客がいなくなってしまう!」、「何らかの脱法行為をせざるを得ない!」と大騒ぎでした。 しかし、実際は、現在に至るまで営業は成り立っています。 それには顧客層の大きな変化がありました。

総量規制は守られている!?

結論から言えば、大手でも中小消費者金融でも、ほとんどの会社が「総量規制」をきちんと遵守しています。
あからさまな違反を行っている会社はほぼ見当たりません。
これは、正規登録業者で営業している以上は、当然のことではありますが、意外と言えば意外です。

個人的には、「総量規制」が導入される前夜、客層を奪われることになった中小消費者金融は何らかの「脱法行為」を行わざるを得ないだろうと考えていました。
しかし、現在の中小消費者金融は、総量規制オーバーの人に強引な手法で融資をしなくても、営業は十分成り立っています。
それには、次のような背景がありました。

顧客層が「多重債務者」から「自己破産者」へ変わった!

総量規制を遵守しても営業が成り立っている大きな理由のひとつに、改正貸金業法施行後、中小消費者金融の顧客層に変化があったことがあげられます。

それまで中小消費者金融の顧客の中心は、既に複数の他社から借入れがある「多重債務者」でした。

総量規制が導入される前までの中小消費者金融の営業スタイルは、いわば、「多重債務者100人に融資をして、例え10人が潰れても、90人が高金利できちんと返済してくれれば良い」という考え方でした。
しかし、「総量規制」によって、多重債務者への融資の道は途絶えてしまいました。

また、「上限金利引き下げ」によって高金利に頼った乱暴な融資も出来なくなってしまいました。
代わりに増えてきたのが、過去に自己破産や債務整理をした方への融資です。

それ以前の中小消費者金融では、

●自己破産者や債務整理をした人
・・途中で返済を投げ出した悪い客

●多重債務者
・・負債が多くても返済している返済意欲の高い客

という偏見が強くあり、自己破産や債務整理をした方は、ほとんど融資対象者としては見ていませんでした。

ところが、実際に融資してみると、過去の借入れが清算されているので、「総量規制」に抵触することは少なく、また、融資した後も、逆に「総量規制」が歯止めになって、負債が増加しにくいので不良債権化しにくいという、極めて合理的な融資であったことが判明したというわけです。

法改正からほぼ10年経過した現在は、客の入れ替えも完了し、中小消費者金融の客層は、多重債務者中心から自己破産や債務整理をした方が中心に変化しています。

銀行カードローンのおまとめローンで融資する隙間ができた!

また、総量規制を遵守しても営業が成り立っているもうひとつの理由に、銀行カードローンの活躍があげられます。

最近になって、銀行カードローンはその過剰融資が問題視され、貸出しは自粛傾向ですが、2016年ごろまでは、消費者金融に変わる新たな受け皿として、その融資は、超イケイケの状態でした。

一般的に銀行カードローンは消費者金融よりも金利が低いので、当時は消費者金融の「おまとめローン」としてもよく利用されていました。

この銀行カードローンが消費者金融の借入れを「おまとめローン」でまとめてくれたおかげで、借金の総額は変わらないのに、それまで、総量規制の対象であった借入れが、対象外の借入れとなり、消費者金融が融資できる隙間ができたというわけです。

脱法行為とまでは言えませんが・・・

このように、まがりなりにも、中小消費者金融の現場では、総量規制は遵守されています。
但し、その背景には、自己破産者や債務整理をした方への融資の増加や、銀行カードローンのおまとめの隙間をついた融資があったことも事実です。
これらの手法は、「脱法行為」とまでは言えないまでも、世間や監督官庁がこころよく思わないことは明らかです。

自己破産者への融資も、あまり派手にやり過ぎると、次なる締め付けにつながりかねないので、各中小消費者金融にはくれぐれもやり過ぎないようにしてもらいたいものです。

失敗しない借入額の申告方法

前述したように、客層が多重債務者から自己破産や債務整理をした方に変わったこともあり、現在、中小消費者金融の現場では、総量規制はきちんと守られているようです。
イマドキは、無理をして多重債務者を拾ってゆくという融資方法はもはやどこも採用していません。
逆に、総量規制に抵触していないのに勘違いによって否決となってしまうことを注意しておく必要があります。

それには、申込みフォームへ自己申告で入力する「借入額」と「年収額」がポイントになってきます。

●総量規制の対象となる借入れとならない借入れ

借入れには様々な種類があります。
主だったものだけでも、「住宅ローン」、「自動車ローン」、「ショッピング」、「キャッシング」など多種多様です。

但し、この中で総量規制の対象となる借入れは「キャッシング」の内、消費者金融など貸金業者が貸出ししたものだけです。
同じ、キャッシングでも銀行が貸出ししている「銀行カードローン」は総量規制の対象にはなりません。

ちなみにクレジットカードは、

  • 商品購入(ショッピング)・・総量規制の対象外
  • 現金を借りた場合・・総量規制の対象

になります。
まずはこのことを覚えておいて下さい。

●申込みフォームへの申告方法

消費者金融に申込みをする時は、「現在の借入件数、借入金額」を必ず、申告させられますが、実はこの時の申告の仕方は人によって様々で、

  1. 総量規制対象の借入だけ申告
  2. 総量規制対象外の借入も申告

どちらのケースもあり得ます。

もちろん、どちらにしても、指定信用情報機関を利用した借入調査は実施されるので、最終的には消費者金融側で正確な借入額は把握されることになりますが、当サイトでは、申込みの段階では、総量規制対象の借入だけを申告することをおすすめしています。

それは、中小消費者金融の審査では“申告借入額が申告年収額の3分の1を超えている場合は、それ以上細かい調査に進まず、否決となってしまう可能性が高い”からです。

本来、全ての申込みを指定信用情報機関に照会すれば正確な借入額を確認出来るわけですが、人手の少ない中小消費者金融では、割り切って申告年収と申告借入額の比較だけで、判別している場合がほとんどです。

このように申告借入額を総量規制対象外も含めて入力すると、勘違いで否決となってしまう可能もあるので、申告は、総量規制対象の借入だけとした方が無難なのです。

     審査が通る中小消費者金融

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