消費者金融の本人確認方法
消費者金融を利用するのに、身分証明書を提出するなどの「本人確認」は必須ですが、近年、この方法が厳格化してきています。
本人確認の方法は、消費者金融が独自で決めているのではなく、「犯罪収益移転防止法」という法律で細かくルールが定められています。
この章では、イマドキの消費者金融の「本人確認」はどのようなものなのか、詳しく解説しています。
Contents
犯罪収益移転防止法とは
犯罪収益移転防止法(正式名称:犯罪による収益の移転防止に関する法律)とは、2001年9月11日の同時多発テロを発端として、テロリズムに対しての資金供与やマネー・ロンダリング等に利用されることを防止することを趣旨として制定された法律です。
ざっくり説明すれば、テロリストや反社会的勢力などに、お金が流れないように、取引する時は、きちんと本人確認や使途の確認をして、疑わしい取引は届け出るようにしさいというものです。
この法律は、制定後も、何度も改正を繰り返し、その都度、本人確認の厳格化が進みました。
具体的には、現在、消費者金融で貸付を行う場合は下記項目の確認が必須とされています。
●個人の方
- 本人特定事項(いわゆる「本人確認」として、住所、氏名、生年月日)
⇒公的証明書などを提示 - 取引を行う目的
- 職業
●法人の方
- 本人特定事項(いわゆる「本人確認」として、名称、本店や主たる事務所の所在地)
⇒商業登記簿謄本や印鑑証明書などを提示 - 取引を行う目的
- 事業内容
- 実質的支配者の確認
この調査の結果、疑わしい取引であった場合は、消費者金融は金融庁長官(貸金業の登録が財務局(支)局長の場合)又は都道府県知事(貸金業の登録が都道府県知事の場合)に届出をすることになっています。
消費者金融の本人確認とは
このように犯罪収益移転防止法では、消費者金融が取引するにあたり、かなり細かく確認事項が定められています。
では、個人が消費者金融を利用する際には、具体的に、どのような本人確認が行われているのかまとめてみました。
(※ここでは、インターネットキャッシングを想定して、非対面での融資を想定しています。)
●本人確認書類は原則2点必要
免許証、保険証、パスポートなどの本人確認書類は、原則、現住所記載分2点の提出が必要です。
現住所記載した本人確認書類がなければ、補完書類として、公共料金などの領収書の提出も必要となります。
組み合わせは下記①~③のいずれかになります。
- 本人確認書類(現住所記載)×2点
- 本人確認書類(現住所記載)×1点 + 補完書類(現住所記載)×1点
- 本人確認書類(旧住所記載)×1点 + 補完書類(現住所記載)×2点
●契約書面の郵送は「書留」
中小消費者金融のインターネットキャッシングでは、契約書類の取り交わしは郵送で行うのが一般的ですが、その発送も、書留郵便などにより、転送不要郵便として送付することが必要とされています。
施行規則の改正によって「郵送レス」が進むか!?
前述したように、現在の法律では、インターネットキャッシングなど非対面融資の場合は、本人確認のため、原則、転送不要の書留郵便などで顧客の住居に書類を送付することが必要とされています。
しかし、2018年11月の犯罪収益移転防止法の施行規則の改正では、業者が提供するソフトウェアを使用して、「本人の容貌の画像」や、免許証などの「写真付き本人確認書類」の画像を斜めに傾けて「厚みその他の特徴」を確認することができるようにして送信することで、郵送をしなくてもよいとなりました。
(この他、顧客から写真付き本人確認書類のICチップ情報と本人の容貌の画像の送信を受ける方法もあります。)
このことによって、これまで一部、銀行系の消費者金融でしか採用されていなかった、郵送が一切不要の「WEB完結」が進む可能性もあります。
中小消費者金融にもこの流れがくることを期待したいところです。